Re: 閉店・撤退情報 |
投稿者: 名無しさん 投稿日時: 2015/3/25 7:52 さらば県庁前の本屋 上野山書店今月閉店 ◇常連に愛され102年 大正時代に創業した和歌山市雑賀屋町東ノ丁の「上野山書店」が今月末で閉店する。大型店やインターネット販売に押される中、常連客が気軽に読書相談できる場だった「県庁前の本屋さん」。惜しまれながら102年の歴史に幕を下ろす。(上田貴夫) 上野山書店は1913年(大正2年)、和歌山城の南西、現在とほぼ同じ場所で創業。空襲で城が燃え、一帯が焼け野原になった後もバラック小屋で再建した。毎週大阪に出かけ、問屋で雑誌や本を探しては仕入れ、活字文化を支えた。 戦後生まれの3代目、上野山順士さん(66)は本に囲まれて育った。大阪市立大卒業後、東京の大手証券会社勤務を経て、27歳から家業を支えた。本探しのリクエストに応じようと、入荷する新刊を読み、新聞や雑誌の書評にも目を通した。常連客の相談に応じ、好みに合った本を薦めた。「書店主は専門家である必要はない。でも、色んな話題についていける『雑学者』でないと務まらない」。40年で養った“書店主論”だ。 約60年通っているという近くの女性(82)は、書名や著者の名が分からない本でも見つけてもらったという。「半年前の新聞書評のうろおぼえの内容だったんですが、好きな作家の小説をちゃんと探し出してくれた」 上野山さんは4年前、脳出血で倒れて以来、後遺症で本を読むと目がかすみ、物事を思い出しにくくなった。妻純子さん(56)や母栄子さん(89)らの支えで日常生活を送るまでには回復したが、「これまでのような接客はできそうもない」とやむなく閉店を決意した。 活字離れやネットの台頭など社会変化の波を受け、多い時で1日700人だった来店客は、今は20人程度。売り上げもピーク時の1割程度という。上野山さんは、昼時になれば、週刊誌や文庫本を求める県庁職員やサラリーマンの行列ができたのを懐かしく思い出す。 戦後間もなくに、上野山書店の通りを挟んだ向かいに移ってきた「宇治書店」を経営する宇治正裕さん(52)は「一緒にやってきたご近所の同業者が減っていくのは寂しい。地元密着の中小書店がなくなってしまう」と肩を落とす。 上野山書店では、「やめないで」とレジで立ち話をして別れを惜しむ常連客も多い。上野山さんは「1世紀もの間もやってこれたのは、お客さんのおかげ。本好きの友達と人づきあいする感覚で、互いの顔が見える店づくりができて幸せでした」と笑顔を見せた。 ◆ 書店動向を調査する出版社アルメディア(東京)によると、新刊本を扱う書店(2014年5月現在)は全国1万3943軒で、10年前の4分の3に減った。この間の売り場面積は増えており、中小書店が消える一方、大型書店が増えたとみられる。 ただ、中小でも児童書などの専門店は減っていないといい、アルメディアの担当者は「商品知識の豊富な店主が、客層を見極めて品ぞろえを絞り込むなど個性的な店づくりが生き残りのカギになる」と話している。 2015年03月25日 http://www.yomiuri.co.jp/local/wakayama/news/20150324-OYTNT50172.html |