県が訴訟の原告を土地開発公社に押し付け 土地売却金の取立て失敗の責任逃れ 新宮駅前市街地県道拡幅工事で |
投稿者: 和ネット 投稿日時: 2007/3/13 21:22:06 新宮市街地を縦断するJR新宮駅前の県道拡幅工事に関連して、県が拡幅のため敷地の一部を削り取った民家4軒に対して、軒続きの空き地を4等分にして有償配分したが、交渉時の説明不足など契約の詰めの甘さから、土地代金を払ってもらえず、和歌山地裁に土地売買精算金請求訴訟を提起した。しかし、この時期、木村良樹前知事を官製談合の疑いで大阪地検特捜部が内定中で、県は交渉の失敗を県議会に追及されるのを恐れたのか、全額県出資の外郭団体・県土地開発公社を訴訟の原告に仕立てあげ、県の失敗を「尻拭い」させていたことが13日、わかった。しかも、当時の木村知事が同公社理事長の小佐田昌計副知事宛に「訴訟一切について公社に迷惑をかけない」との覚書まで交わしていた。 同訴訟は昨年9月6日、県土地開発公社を原告に民家4軒の被告に土地代金計約2100万円の支払い求める事件。訴訟に至る経緯は、事業費約24億円をかけ、1993年度から2002年度まで10年計画で実施した事業・都市計画道路「上本町あけぼの線」。同駅前から国道42号を結ぶ長さ220メートル間(幅約5メートル)片側通行を幅16メートルに拡幅し、上下各1車線と歩道工事が予定通り完成した。民家の移転による用地補償は約13億7千万円かかったが、このうち、拡幅道部分を削った4軒には、用地及び建物分の補償金を支払った。一方、4軒と軒続きの他の1軒が立ち退き待たず転居したため、県の要請で県土地開発公社が約2100万円で空き地分73平方メートルを取得。県は拡幅で狭くなった4軒にほぼ等分に有償配分した。売却額は取得分と同額の2100万円だが、対象の4軒は「無償配分では」、「値段が高い」などと支払いに応じなかったため、訴訟に持ち込んだ。しかし、民家はいずれも改築済みで、有償分の土地は事実上取り込まれた。 裁判は4回行われたが、解決のメドが立たぬまま。名義上の原告は土地開発公社だが、弁護士は県顧問弁護士を立て、開発公社は裁判に一切ノータッチで、同公社名義のこの土地は、登記上だけの同公社の「塩漬け土地」。民家4軒に取り込まれたままとなっている。 県土地開発公社は「精算金請求事件の原告に仕立てられただけで、事件の内容など一切知らない。県が公社に迷惑をかけないと約束した覚書を交わしている。一切は県の責任だ」とコメント。これに対して、県土整備部事業進行課は「原告は土地開発公社である。訴訟の経過などについてご理解願いたい」と歯切れが悪い。 |